2025年3月24日からドローン飛行の許可・承認が迅速化へ
近年、測量、点検、空撮や農薬散布等でドローンの活用が拡大している。ドローンを飛行させるには、「空港周辺」「高度150m以上」「人口密集地帯上空」「緊急用務空域」の4つの空域では国土交通大臣の許可、「夜間」「操縦者の目視外」「第三者又は第三者の物件から30m以内」「催し場所の上」「危険物の輸送」「物件の投下」の6種類の飛行方法をとる場合は国土交通大臣の承認が必要となる。≪図表1≫

ドローン活用の拡大とともに許可・承認申請件数が増加しており、2023年度81,428件2となった。許可・承認には10開庁日以上を要しており、航空局は3~4週間前には許可・承認申請を提出するよう促している。このためドローンの活用は通常1か月程度前には計画する必要があった。
ドローンをできるだけ短期間で飛ばす方法としては、飛行の都度申請を行うのではなく、最大1年間の期限で空域や日時を特定せずに取得する包括申請を行う方法と、無人航空機操縦士が機体認証を受けた機体を飛行させることで許可・承認が不要となる方法の二種類がある。
しかし、包括申請は趣味を目的とする場合や催し物上空の飛行の場合は認められていない。
また、2024年10月末現在、二等操縦士ライセンス交付数は17,252件3あるが、第二種機体認証交付数は11件4しかなく、無人航空機操縦士が機体認証を受けた機体を飛行させる事例は少数にとどまる。
こうした状況でドローンの活用拡大に対応するため、航空局は無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領を改正し、2025年3月24日に施行する5。この改正によって、従来航空局に資料が提出されていた一部項目について、申請者が適否を確認し、その結果をドローン情報基盤システム(DIPS)に入力すること等をもって資料提出に代えることとなる。施行後も飛行の10開庁日以前に申請することは求められる6ものの、1開庁日での許可・承認を目指す7。≪図表2≫

改正の結果懸念されるのは、申請内容の正確性の担保だ。2023年度の許可・承認申請件数は81,428件9だが、実際の許可・承認件数は67,430件10で、許可・承認率83%となっている。許可・承認されなかったものの中には申請者の都合で取り下げられたものもあるが、申請者が問題ないと判断して申請したが航空局で却下されたものもある。今後は申請者自身が資料を確認して申請することになるため、今まで以上に注意を払い、航空法の定める要件に適合しているか確実に判断することが求められる。
ドローン飛行を委託する事業者も、ドローンの活用を検討してから実現までが迅速になるという利点が享受できるだろう。ただし、委託先のドローン事業者が航空法の定める要件に適合しているか確実に判断し、適切に申請等を実施できることが前提だ。ドローンによる作業等を委託する場合には、航空法の定める要件に適合していることを確実に確認して遂行できる事業者か、航空法の要件とその適否についての具体的な説明を受けて、事業者を選定することも重要だろう。
- https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html(最終閲覧日:2025年2月27日)
- 国土交通省「無人航空機飛行に係る許可承認申請件数の推移(令和3年1月~令和6年11月)」
- 国土交通省(2024年11月15日)「第20回 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会 資料1 ドローンの環境整備に係る取組状況について」p.2
- 国土交通省(2024年11月15日)「第20回 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会 資料1 ドローンの環境整備に係る取組状況について」p.2
- 国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html (最終閲覧日:2025年2月27日)。なお、改正に伴うドローン情報基盤システム改修のため2025年3月17日から2025年3月24日の改修終了までの間はシステムでの申請手続きが休止される。
- 国土交通省(2025年2月25日)「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」2.2-1(1)b
- 国土交通省は内閣府(2024年5月31日)「規制改革推進に関する答申 ~利用者起点の社会変革~」p.30等による許可・承認審査の1開庁日化を目的とした改正であるとしている(国土交通省webサイト https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html (最終閲覧日:2025年2月27日))
- 国土交通省(2025年2月25日)「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」
- 国土交通省「無人航空機飛行に係る許可承認申請件数の推移(令和3年1月~令和6年11月)」
- 国土交通省(2024年11月15日)「第20回 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会 資料1 ドローンの環境整備に係る取組状況について」p.2