幸福度研究会報告書
「日本社会は幸せか?~多様な幸福感・幸せへの道しるべ~」
「幸福度研究会」とは
「幸福度」に関わる研究は国内外で取り組まれていますが、多くの場合、日本の評価・スコアは芳しくありません 。しかし、日本は世界の中で先進国と位置付けられる豊かな国であり、治安・公衆衛生の水準も高い国です。これまでの幸福度に係るアプローチは、欧米中心に研究が進んできたこともあり、 日本における幸福の感じ方を必ずしも反映していないという考え方もあります。
そこでSOMPOインスティチュート・プラスでは、有識者で構成する「幸福度研究会」を2024年4月に立ち上げ、既存の研究成果を踏まえつつ、年代・性別等の属性や個人の価値観によって幸福の感じ方に多様性があることを前提として、日本社会における幸福とは何かを浮き彫りにする試みに取り組んできました。
主観的な幸福度についてのアンケートを通じて、日本社会における幸福度の構成要素を明らかにするとともに、各構成要素についての詳細な質問への回答や回答者の属性との関連を分析しています。
研究会メンバー(敬称略)
<座長>
前野 隆司 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授、武蔵野大学ウェルビーイング学部 学部長
<座長代理>
迫田 英典 SOMPOインスティチュート・プラス 理事長
<委員>※50音順
内田 由紀子 京都大学 人と社会の未来研究院 院長・教授
亀田 制作 SOMPOインスティチュート・プラス プリンシパル兼エグゼクティブ・エコノミスト
坊垣 佳奈 株式会社マクアケ 共同創業者・取締役
松下 美帆 内閣府経済社会総合研究所 特別研究員、内閣参事官(内閣官房副長官補付)
室橋 祐貴 日本若者協議会 代表理事
山﨑 聖子 株式会社電通総研 フェロー
調査結果のサマリー
研究会における主な分析結果は次のとおり。
◆年代別の幸福度は、若年層・高齢層が高く、30~50代が落ち込む“U字型”。
◆幸福度を回答する際には「健康」や「安心・安全」を重視するという結果だったが、統計的に分析すると、実際に幸福度に影響している分野は「生きがい・ 未来への希望」「所得・富」「交友関係・人間関係」だった。
◆若年層は自分自身や日本社会の将来に希望を持っている。若年層が希望を持ち続けられる社会を作る必要があるのではないか。一方、「生きがい・未来への希望」の満足度が低い30~50代の中でも、挑戦への意欲が強い人は満足度が高い傾向にある。チャレンジ精神を持つことで、生きがいを感じることができるのではないか。
◆所得と幸福度は一定の相関はあるものの、あらゆる所得層にも幸福を感じている人はいる。この場合も、「生きがい・未来への希望」を持って生活・行動することが幸福への道。
◆交友関係・人間関係の構築も幸福度と関係が深い。「家族」よりも距離がある「地域・隣人」と親密なコミュニケーションを取れている人は、交友関係・人間関係の満足度が高まる。狭い関係性に閉じるのではなく、いかに拡がりを持つかが大事ではないだろうか。また、人目を全く気にしないよりは、気にしている人の方が、幸福度は高い。ただし、行き過ぎ(気にしすぎ)は逆効果。
座長からのコメント
日本における多様な幸福についてのレポートができました。
「何が幸せに影響すると思っているか」と「何が実際に幸せに影響するか」が多少異なることや、若者は将来に希望を持っていることなど、日本の多様で明るい未来を予感させる結果となりました。
ぜひ多くの方にご覧いただき、幸せへの道しるべとしていただければ幸いです。
報告書
報告書のPDFファイルは下記から閲覧・ダウンロードできます。